仮想通貨と信用創造 その4

こんにちは。

クリプトリサーチの平野です。

 

前回は仮想通貨が抱える問題のひとつに「価値の不安定性」があり、

先が読めないことから「ビットコイン建て預金」のように

仮想通貨建てで預金する仕組みが生まれないという事情に触れました。

 

今回は、

上げたり下げたり、激しく変動する仮想通貨の価値を安定させることはできるのか、

もしできるとしたらどのような仕掛けが必要なのか、

というテーマで仮想通貨の可能性について考えてみたいと思います。

 

そこで、まずはじめに価格の決定プロセスがどうなっているのかというと、

ビットコインなどの仮想通貨では需要と供給で市場価格が決まります。

 

このレポートで以前お話ししたように

発行されるコインの量はビットコインのように限度が設定されているため、

中・長期的に供給曲線は垂直線に近づいていきます。

 

さらに、以下で説明するように、

短期的にもマイニングが価格に後追いする仕組みとなっていることが、

供給曲線を直立させる原因となっています。

 

一方、需要曲線は価格が下がれば買い手が増え、

価格が上がれば買い手は減るので、右下がりの曲線になります。

 

すると、以下の図のように、

需要曲線1と供給曲線1が交叉したAのポイントで価格が決まることになります。

 

次に、この仮想通貨を買いたい人がどんどん増えていった場合を考えると、

同じ価格で需要量が増えることから、需要曲線全体は右上にシフトします。

 

この価格上昇分が上乗せされるためマイニング競争に参加する人が増えますが、

この際、マイニングの難度を上げるという形で調整が行われるため供給量は変わらず、

価格は上昇したままとなります。

 

逆に、価格が下落すればその分の利益が減るので

マイニング競争に参加する人は減り、難度は引き下げられます。

 

このようにして、仮想通貨の価格の変動を後追いする形で

マイニングに対する難度の調整が行われることが、

発行限度量の話とは別に、供給曲線を直立させる原因になっています。

 

そして、この供給曲線の直立こそが、仮想通貨の激しい騰落を促しているわけです。

 

したがって、価格を安定させるには、需要曲線のシフトに対して、

供給曲線も当初の供給曲線1から供給曲線2にシフトさせればいいということになります。

 

その結果、、需要曲線2と供給曲線2はCのポイントで交叉して、

価格を一定にすることができます。

 

以上のプロセスによって、仮想通貨を法定通貨のように安定させれば、

将来の価値を見通せるので「預金」の対象になります。

 

つまり、現在の価値と1年後の価値など時間をつなぐ「金利」の機能が働き、

「信用創造」のサイクルが回転することになります。

 

もちろん、これで仮想通貨が直ちに法定通貨に対抗できるというわけではありません。

 

仮想通貨が持っているもうひとつの弱点は、

マイニングという承認システムでもたらされる電気代などの「経済性」の問題で、

この点で法定通貨に劣ります。

 

しかし、ユーザー側からすれば、決済や送金などで使い勝手といった面で

想通貨と法定通貨のどちらも自由に選択できれば、利便性は高まります。

 

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